さらば QUAD ESL-63 (99/9/19 記)
 

その日は突然来た。 1999 年の夏は、東北地方は例年にないほど、暑く、湿度の高い日々が続いていた。 七夕を過ぎたある日、突然、QUAD ESL-63 は雨垂れの音のような異音を発し始めた。 湿度には弱いスピーカーゆえ、梅雨以来、クーラーにずっと除湿運転をさせておいたのではあるが・・・。

これまでにはない異常であり、すぐに電源を切った。 数日して、再度電源をいれてみると、やはり同様の異音が聞こえる。 異音は、スピーカーの左 1/4 の部分から聞こえるので、異常はその左下の振動板にあるようだ。 わたしがこの Quad を購入したオーディオ店は、バブル景気の崩壊により閉店して久しい。 仙台で、修理を引き受けてくれるところを探すところから始めることとなった。

幸いにして、インターネット上の友人から、「のだや」が引き受けてくれることをしり、さっそく修理を依頼した。 店員さんいわく、修理には \ 100,000 以上かかるであろうとのことであった。 振動板 1 枚が \ 50,000 ぐらいと聞いていたので、それぐらいはかかるであろうことを覚悟していた。 とりあえず、\ 200,000 以内なら修理してほしいことを伝えた。 10 日ほどして、電話がきた。 修理に \ 350,000 かかるとのこと。 振動板を全交換して、すべてをオーバーホールするという。 新品を買うのと同等の価格である。 新品を買うとして、いくらかかるかを質問したところ、現在、ESL-63 は製造中止となっており、1本だけの購入は不可とのこと。 ちょっと考えさせてもらうことを伝えて、電話を切った。

現在、ESL-63 の中古価格は、\ 300,000 / pair 程度である。 再度、中古を購入することも考えた。 しかしながら、仙台市内には、中古の販売店がないので、実地に程度を確認して購入することができない。 手持ちの ESL-63 は中古とは言っても、購入後 6 か月で、新品も同様の状態であった。 現在、市場に出回っている中古とは、品質があまりに違う。 湿度に弱い ESL-63 ゆえ、適当に購入するわけにはいかない。 

それでは、修理するか??? 修理に、\ 350,000 かけるのも、一つの手であろう。 しかし、現在、無傷の ESL-63 も、近い将来に同じ故障が起こるであろうことは想像に難くない。 QUAD 44 の故障の仕方から考えて、故障しないとは、とても思えない。 そうなれば、結局、\ 700,000 かかる。 それならば、新しいスピーカーを購入する資金としては、十分であると考えざるを得ない。

悩んでいたさなか、QUAD 日本代理店のハーマン・カードンの Web サイトの取り扱い品目の中から、QUAD が消えた。 風の便りでは、英国 QUAD の経営困難が、明らかになってきているらしい。 事実、Quad Electronics Home Page には、ESL-63 の後継機と思われる、ESL-988, ESL-989 の記事が掲載されて、既に 1 年になるにもかかわらず、国内・国外を問わず、実機の噂さえ聞いていない。 ここに至り、私は決断した。 さらば、QUAD ESL-63。 私は新たなスピーカー探しを行うことにした。

追伸: 誤解がないように記しておきますが、もしも、ESL-988, ESL-989 が国内発売されれば、私はまた QUAD を買うかもしれません。

(to be continued...)

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